下級武士の家の先祖探し

家系図 ルーツ

第81

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1.家系図ニュース~被災された皆さまに謹んでお見舞い申し上げます
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まずは、この度の震災で被災されました皆さまに謹んでお見舞い申し上げます。

改めまして、行政書士の丸山学です。私の方は、地震当日は国会図書館で調べ物をしていまして帰宅困難となりました。結果的にはホテルニューオータニの廊下で一晩過ごさせていただけましたので、おかげさまで無事でした(ホテルの方でバスローブや毛布も貸してくださいました)。

親戚の中には被災地域に住んでいる家もありますが、みな身体は無事でした。しかし、これまで家系図の調査で東北地方、茨城などには度々出かけ、その都度、現地の多くの方々にお世話になっています。

そうした方々の全員の安否は確かめようもありませんが、被災された方も多いものと推測されます。実際、私は地震の日の2日前まで青森県内で現地調査をしており、そこでも多くの方のお世話になっていました…

それを想うと本当に胸が苦しくなります。今は、一人でも多くの方が無事であることを願うよりありません。


地震の日以降、しばらくの間は私も仕事が手につきませんでしたが、先週あたりから通常態勢に戻っています(被災地での調査などは当然まだ出来ませんが…)。 先週は『1000年たどるコース』をはじめ、新たなご依頼も多数いただきました。

こんな時だからこそ、記録が失われないうちに一家でも多くの家系図作成に全力で取り組みたいと思います。新たなご依頼も、お待ちしております。


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2.下級武士の家の先祖探し
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「上級武士」とか「下級武士」という言葉は差別的でよろしくないのですが、あくまで歴史的表現としてご容赦ください。

昨年の大河ドラマ『龍馬伝』の中でも上士(上級武士)と下士(下級武士)の対立が描かれていましたので、一口に武士といっても、その中でさらに厳格な身分制度が存在していた事は多くの方が知るところになったと思います。

坂本龍馬の土佐藩は歴史的な背景(戦国期まで土佐を支配していた長宗我部家の家臣団が下士として虐げられるようになった)もあり、特に上士と下士の身分差が厳しいという事情がありました。

しかし、その他の藩でもやはり「上級武士」「下級武士」という意識があり、明確な定義がある訳ではありませんが一般的には100石取り以上が上級武士という感じになります。

上級武士の場合には、各藩が作成していた『分限帳』にご先祖様の名前が見付けられる可能性が高いので比較的、ご先祖探しがやりやすいという事がいえます。その点、下級武士の場合には分限帳に名前が載っていないケースも多く、分限帳だけでは上手くいかない可能性が高いでしょう。


しかし、そうした下級武士の場合、分限帳とは別にご先祖探しに適した良い史料があります。それは、明治期になって作成された卒族の『代数調べ』です。下級武士のなかでも「足軽」的な身分の場合、明治維新を迎え「卒族」という扱いになりました。明治維新当初は、武士の家は「士族」と「卒族」とに分けられていたという事です。

しかし、その後すぐに、

代々世襲していた家は「士族」へ
一代限りの士分だった家は「平民」へ

…というように編入されていきました。

つまり、行政の方では士分を(足軽等の下級武士であっても)二代以上続けてきた家なのか? それとも一代限りなのか? という事を確認する必要が生じた訳です。そのため、そうした卒族の家に由緒書き(書式は地域により異なる)を提出させています。

その結果、各地に卒族の『代数調べ』といった文書が残ることになりました。名称は微妙に異なるようで、たとえば熊本の相良藩のものであれば『二代以上卒代数調書』という名称で現存していて、各家ごとに「ウチの初代は誰右衛門であり、誰左衛門の家から分家した」などという事が記載されています。

これにより、戸籍よりもさらに古いご先祖様名や由緒も判明します。但し、全藩の分が現存している訳ではありませんし、どこに所蔵されていると決まっているものでもありません。

しかし、ご先祖様が武士であるという言い伝えがある場合には、分限帳と併せて、こうした卒族の明治期の記録にも当たってみると良いかもしれません。こうした卒族の由緒書きを見てみると、元は上級武士の家から分家しているケースも多いようです。ですので、一つの藩で同姓の藩士が複数いる場合には元は同じ出自であることも多いといえそうです。