戸籍には江戸時代中の居住地が記載されている場合もある

家系図 ルーツ

第77

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1.家系図ニュース~家系図作成についての最高裁判決が出ました
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こんにちは、行政書士の丸山学です。

つい先日(12月20日)、家系図作成について最高裁判決が出ました。私が思っていた以上に大きく報道されていましたので、既にご存知の方も多いかもしれません。

この裁判は、行政書士資格を持たない人が家系図作成を業務として行っていたところ行政書士法違反で逮捕されたところから始まりました。家系図は行政書士の独占業務であるところの「事実証明書類」の作成にあたるため、行政書士資格を持たない人が作成するのは違法であるとの論理です。

1・2審はその通りに有罪判決が出ました。しかし、この度の最高裁では一転して逆転無罪の判決となりました。論旨としては、「観賞用、記念品用としての家系図は事実証明書類には当たらず、作成を業務として行うのに行政書士資格は要らない」というものです。

この事件を詳細に語ると、他にも様々な問題点があるのですが単純化すればそのような話になります。で、結果的には「(観賞用等の)家系図作成は行政書士でなくても誰でも出来る」という事で、それはそれで良いのですが、実は私のように行政書士として家系図作成を行っていた者には新たに様々な問題が起きています。

「誰でも出来る」のであれば単純に「行政書士も出来る」とも言えそうですが、実はそう簡単な話ではなく、「行政書士の独占業務ではないのであれば、行政書士として受託する事は出来ない」という論理もあり得るところなのです。

国家資格ですから、行政書士として出来ることはきちんと法で定められており、それ以外の事は出来ないのです。と、なりますと、私ももしかしたら今後は行政書士としてではなく一事業者(個人事業なり株式会社なり)として家系図作成を受託する必要があるのかもしれません。

それとも今のまま「行政書士として家系図作成が出来る」のか、現時点では何ともいえない不明確な状態に置かれてしまっています。そこで、当事務所では一時的に新規の家系図作成のご依頼をストップさせていただく事にしました。

今後、行政書士として受託するべきなのか?それとも一事業者として受託するべきなのか?その辺がはっきりしてきましたら、受託の方も再開したいと思います。(1月中には、どちらかで再開予定です)

ご依頼をされる方にとっては何だかよく分からない問題でご迷惑をおかけいたしますが、どうぞよろしくお願いいたします。

余談ですが、この判決前後はNHKや新聞社、ラジオ局から取材が結構入りました。判決翌日の21日の朝日新聞朝刊には私のコメントも掲載されています。但し、前述のとおり今後は行政書士として家系図に関われるのか不明な部分もありますので、判決後のラジオ出演の要請などは辞退をさせていただきました。思わぬ形で「家系図」が脚光を浴びたことになりますね。


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2.戸籍には江戸時代中の居住地が記載されている場合もある
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現行の戸籍制度が出来たのは明治5年(1872)の事です。しかし、このメルマガでは再三触れてきましたように、この明治5年式の戸籍というのは干支から俗に「壬申戸籍」と呼ばれていますが、これは現在では取得が出来ません。

現在でも実際に取得できるのは、明治19年式のものからです。壬申戸籍は取得は出来ないものの、制度が施行された明治5年以降の本籍地や家督
相続・分家関係、婚姻等の記載は明治19年式戸籍の中の各人の欄に転記されている事も多々あります。

ですから、戸籍をよく読み込めば明治5年から18年の様子も何となく知ることは出来るという訳です。しかし、これは地域といいますか役所(あるいは当時の担当者)によって異なるのだとは思いますが、江戸時代中の本籍地・婚姻・分家に関する事項まで詳細に記録されている戸籍(正確には除籍)に出会うこともあります。

今年、ある「200年たどるコース」で取得した除籍にも、

「天保十三年三月二日○○郡○○村 ○○誰兵衛兄 分家ス」

…という記載がありました、天保13年(1842)といえば、江戸時代後期とはいえ幕末というほどの時代ではありません。

よくそんな時代の日付まで詳細な記録がされているものだなあと関心していました。そして、その○○村の古文書(宗門人別帳など)が非常に多く現存している事も分かりました。

天保13年ぴったりのものはありませんでしたが、その前後の人別帳があります。これはもう完全にこの家の歴史が詳細に解明できる~と、意気込んで現地調査に出かけました。

ところが、どう探してみても、その除籍に出てくる天保13年にその村から分家していったであろうその人物の記載が村の人別帳に見当たりません。おまけに、その兄も父も(戸籍内に名前が出ている)その村の人別帳に見当たらないのです。

理由はいまだに不明です。一つ言えることは、戸籍内にあった「天保十三年三月二日○○郡○○村 ○○誰兵衛兄 分家ス」の記載のどこか(例えば村名)に間違いがあるか、人別帳の方に何か間違いがある筈です。

その調査ではその村の同姓宅、菩提寺も全て調べましたが、どうやっても不明です。ですので、古い除籍内から江戸時代中の記録が読み取れることがあるので、それをきちんとチェックすることは先祖探しにおいては重要。それでいながら、さすがにそこまで古い時代の記載は必ずしも完璧ではない~これが教訓といえましょうか。

今年も一年、当メルマガにお付き合いくださいまして、ありがとうございます。来年またお会いしましょう。良い年をお迎えくださいませ!