何の手がかりもない先祖探しの場合

家系図 ルーツ

第37

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1.家系図ニュース~豪族の家系図、公家の家系図
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こんにちは、行政書士の丸山学です。

家系図を作成するときに、戸籍などを使ってまずは自分から直系尊属をどんどん上にたどっていくのが基本となるのですが、出来ることであれば、それと並行して平安時代から中世にかけての主だった「姓」「氏」についても勉強していくと良いと思います。

そうした知識があると、いつか自分の苗字が平安時代から中世にかけて栄えた「姓」「氏」と結び付いてきて様々な仮説が立てられるようになります。歴史的に見てご先祖様を上のほう。自分を下のほうと位置づけるならば、自分からたどりはじめる(つまり、下から上へ)のと、平安時代・中世の主な「姓」「氏」の方からどのような流れが生まれたか(つまり、上から下へ)の両方を並行してやっていくということです。

平安時代から中世の主な「姓」「氏」を勉強するとなると、いわゆる『豪族』の家系を勉強するという事とイコールになります。

たとえば、信濃の方で栄えた滋野氏、海野氏、望月氏などの系図を見ていく。そこからさらに色々な苗字が派生していく様子を知る。そうした豪族の系図をまとめた書籍なども出版されています。

豪族の系図をまとめたもので非常にマニアックな本としては、『古代豪族系図集覧』(近藤敏喬著 東京堂出版)なんていうものがあります。この本、400ページ以上あるのですが、実は著者が手書きしたものがそのまま掲載されています。活字ではないんです。400数十ページ、ひたすら手書きの細かい系図が載っているのです。

圧巻といいましょうか、著者の仕事に頭が下がります。 そして、巻末に本書内の系図に登場する「氏」「姓」の索引が付いているのも素晴らしいです。自身の苗字で引いてみると、全く違う姓や氏からその姓へと変わった事を知ることになるかもしれません。

そして、この著者は実はもう一冊、同じように『宮廷公家系図集覧』(近藤敏喬著東京堂出版)という本を出しています。そうです。豪族だけでなく公家も忘れてはいけません。

公家というのも、江戸時代中も延々とその系譜は続いていましたし、明治以降は華族となり、その後も家系は続いています。公家は、昇殿を許された『堂上家』(とうしょうけ)と昇殿を許されなかった『地下家』(じげけ)に大別されますが、本書は地下家まで収録されています。これは結構、貴重な資料ではないでしょうか。

菅原道真公の末裔であるという口伝がある家などは、武家・豪族の系譜だけ勉強していてはダメで、当然に公家の系譜に目を通す必要があります。ちなみに、公家の方の本も全て手書きの系図です!著者の執念が感じられて、かつ、日本の系図を効率よく検索できる超力作です。

古代豪族系図集覧
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宮廷公家系図集覧
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2.何の手がかりもない先祖探しの場合~何から始めるべき?
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さて、自身の先祖探しを行う場合、戸籍を漏らさず全て取得するのは基本中の基本として、そこから先をどうするかというのが問題になります。

菩提寺が分かっているとか、○○藩の藩士であったなどが分かっていれば何から取りかかればよいのか見当は付くというものです。しかし、「何の手がかりもないんです」という方もいるのではないでしょうか?実は今、新たに動き出している「200年コース」の案件がその状態です。

ご依頼人のご希望で、「家」ではなく「血筋」でたどって欲しいというご要望をいただいています。古い戸籍まで取得して、ご依頼人の父方をひたすらたどっていくと最古の戸籍で当主となっているそのご先祖が他家から明治の初めの頃に養子としてその家に入籍していることが分かりました。

つまり、最古の戸籍内にその人物について「○○郡○○村 吉田半兵衛弟藤吉二男養子として入籍」と書いてあるのが唯一の手がかり。最古のご先祖様は吉田半兵衛という兄がいて、父親は吉田藤吉という名前である。住んでいたところは○○郡○○村だが何番地かは不明。

もちろん、菩提寺も不明ですし、言い伝えも何もない。全くといっていいほど手がかりは無い訳です。 このような場合にどうすべきか?何から始めるか?…そこが問題です。

一つの方法として、いきなり現地に飛び、飛び込みで墓石を探したりお寺で情報を聞きまくるという方法もありますが、あまりお薦めできません。闇雲に気合で何とかしようと思っても、確率としては非常に少ないものとなってしまいます。これは、最後の手段といえます。それに、飛び込みでお寺に行くのも失礼かと思います。相手の事情も考えなければなりません。

さて、今回私がまず手始めに行うのが、
・現地周辺の同姓の家に宛てて手紙を書く
・現地周辺のお寺に宛てて手紙を書く  …という二点です。

同姓の方は、電話帳データ等で調べなければなりませんが、周辺のお寺についてはYahoo!などのネット上の地図を使って調べるのが早いでしょう。手紙で何かご存じのことがないかを尋ねていきます。この結果がどうなるかまだ分かりませんが、進展がありましたら「何の手がかりもない先祖探し」の実例として差し支えない範囲でご紹介していきたいと思います。

まずは、地道に「手がかり」を集めて行く。それが何より大事といえます。