薩摩藩士のご先祖探しには『旧薩藩御城下絵図』を活用する

家系図 ルーツ

第138号 (2017年4月7日) ※読者数8,451人

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1.家系図ニュース~出版のオファーを頂き検討中
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こんにちは、行政書士の丸山学です。

今年最初の発行が4月になってしまいました(冷汗)。

ご依頼が立て込んでいた関係で、日々の調査以外の事は何も出来ない状態にありましたが、新規のご依頼を一時的にストップさせていただいている効果でようやく落ち着きを取り戻してきました。

行っている業務が非常に珍しいという事もあり、時々テレビ出演のオファーなどもあるのですが、そうしたものも最近は全てお断りさせていただいていました。

しかし先日、老舗出版社から書籍執筆のオファーがあり、こちらは場合によってはお受けしてみようかと考えています。前に出版をしてから何年か経過しており、その間に色々とご先祖調査のノウハウも新たに蓄積していますので、そうしたものを書ければと思っています。
正式に決まりましたら、また当メルマガでもお知らせさせていただきます。


◆重版(3刷目)『先祖を千年、遡る』(幻冬舎新書)
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2.薩摩藩士のご先祖探しには『旧薩藩御城下絵図』を活用する
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武士の先祖探しで難儀するのが薩摩藩士の場合です。

まず、薩摩藩は武士の人数が他藩より圧倒的に多いです。江戸時代の武士というのは原則として城下の武家屋敷に居住していました。

土佐藩の坂本龍馬に代表されるような「農村に居住していながら武士」という郷士と呼ばれる形態は例外的です。

しかし、薩摩藩はその平時は農村で農民と同様の暮らしをしながら武士身分を持つという郷士の数が非常に多いのです。
また、城下の武士も数が多い割に、そうした武士を完全に網羅して一覧にした分限帳と呼ばれる名簿も存在していません(分限帳の類はありますが、全ての藩士を書き出してはいません。城下の武士でも記載されていない方が多いですし、農村の郷士に至ってはほとんど記載がありません)

一般的に江戸時代に武士であった家の場合、ご先祖をたどりやすいと思われていますが、特に薩摩藩の場合はそれが当てはまりません。

ですので、ご依頼の案件で「先祖は薩摩藩士だったようで…」と云われると、こちらも覚悟して取り掛かる事になります。

 但し、農村で暮らした郷士に関しましては地域に記録が残っている事も多く、その土地の郷土史を読みますと郷士の一覧が記載されていたり、史料の存在が書かれている事が多くあります。

ですので、薩摩藩士と伝わりながら古い戸籍の本籍地が現鹿児島市域以外の場合には、まずはその本籍地の郷土史をよく読むところからご先祖探しを始める必要があります。

本籍地が鹿児島市域に当たっている場合には城下の武士であった可能性が高いです。 その場合、書籍『薩州島津家分限帳』(青潮社)など活字化されているものにご先祖様のお名前が素直に出てくれば良いですが、ほとんどはそう上手くはいきません。

そこで頼りになるのが、薩摩の城下町絵図です。

『旧薩藩御城下絵図』(鹿児島県立図書館蔵)は、縦346センチ、横452センチの大図なのですが、これは素晴らしいものです!!

城下の武家屋敷一軒一軒に安政6年(1859)時点の当主名が記されています。
 
古い戸籍からご先祖様の本籍地が分かれば、その辺りの『旧薩藩御城下絵図』を見てみます。もし、言い伝えどおりに薩摩藩士であれば、その場所にご先祖様名、あるいは同じ名字が出てくるかもしれません。

名前が記載されているのは武士だけですから、そこに名前が記されていれば実際に薩摩藩士であった事が確認できます。

もし、薩摩藩士である事が確認できれば、あとはまた薩摩藩の様々な記録に当たり、さらに古いご先祖様の事を調べていきます(それも大変な作業ですが)。

とりあえず、薩摩藩士の言い伝えがあり、実際にご先祖探しをされる時には『旧薩藩御城下絵図』というものが存在するのだと覚えておいていただければ良いかと思います。

この絵図は50分割ほどにされて見やすい複製品が刊行されています。
国会図書館にもありますので、鹿児島にまで行かなくても見ることが出来ます。

但し、私が最初に国会図書館で『旧薩藩御城下絵図』で検索しても出てきませんでした。何故だか『旧薩摩御城下絵図』(「薩藩」⇒「薩摩」)でヒットしました。

たった一文字違うだけで重要な史料に出会えるか否かが変わってきますので、こうした検索文字はおろそかに出来ません。
今後、ご自身で調査をされる場合、『旧薩藩御城下絵図』でヒットしなければ『旧薩摩御城下絵図』のキーワードで検索してみてください。

皆さまのご先祖探しのお役に立てればと思い、記しておきました。