★当事務所で行う調査方法
実際、どうやって調査するの?
戸籍を超えたご先祖様の探しの調査方法は、案件ごとに異なりますが、全案件において当方の経験・知識を総動員して行います。主には下記のような手法を試みます。
ご想像される通り、これらの調査を行うには、歴史知識、古文書読解能力はもとより、様々な方にご協力を頂くコミュニケーション能力が重要になってきます。
時には、見知らぬお寺や神社、一般の個人宅にも飛び込みで訪ね、話を伺うということも必要になってきますので、日々、こうした能力の研鑽に務め、成果を上げられるようにしています。
あと、意外と重要なのは「体力」と「忍耐力」です。村外れにポツンと建っている古いお墓に正解があるかもしれません。それをひたすら歩いて探し回るのですから体力は必要です。そして、そうした事を「成果が出るかどうか分からないけれど、ひたすら続ける…」という忍耐力も必須になります。
しかし、こうして苦労はしますが何とか戸籍を超えたご先祖様が判明すると、単にそのお名前だけでなく、そのご先祖様の暮らしぶりまでが自然によみがえってきます。
村のことを調べれば「天保の飢饉」のときに村がどんな状況だったかが分かります。それを知ることによりご先祖様の苦労が伺えます。時には、お上に対して必死に懇願をする陳情書のような古文書の中にご先祖様の名前を見つけることもあります。そこで生き抜いてくれたからこそ、今の自分が存在しているのだと実感することが出来ます。
私が家系調査をお引き受けした場合には、そうしたご先祖様のお名前以外のことにも着目して、それらをご依頼人様にご報告していきます。それがご先祖様探しの醍醐味だと思うのです。
ところで、古文書を読解する前に、まずその村の古文書が果たして現存しているのか?
現存しているとして、いったいどこにあるのか?という問題があります。
戸籍につきましては各市町村役場に保管されていますので、古いものまで辿って取得していく事は難しくありません。しかし、現在取得できる最も古い戸籍は明治19年式のものであり、それより以前~つまり江戸時代のご先祖様のことを知ろうと思うと、本籍地を置いていた町村の古文書を探す必要がでてきます。
地域の古文書というのは誰が所蔵しているかも、地域ごとに全く異なります。行政機関が所蔵している場合もあれば、個人宅に所蔵されている場合もあります。
ですので、江戸期に約7万あった町村のうち目指す町村の古文書がどこに所蔵されているのかを探せるかどうかが問題になります。
また、それを出来るだけ早く効率的に探すことが調査の精度を上げることになるのは言うまでもありません。
そこで、当事務所では日本各地の旧町村の古文書(主に宗門人別帳や検地帳)の所蔵場所およびその内容のデータベース化に努めています。
※詳しくはこちらをご覧ください⇒ご先祖探しスーパーデータベース
約7万ある江戸期の町村のうち、まだこのデータベースに入っているのは3千件程度(2013年4月現在)ですが、今後も随時増やしていきます。
実際に全国各地に出向き、個人宅所蔵のものまで含めて古文書を調査している当事務所だからこそ、日々このデータベースは大きくなっていきます。
個人宅などで古文書を閲覧する場合、目指す村のものだけでなく近隣村のものもあれば出来るだけ古文書を撮影させていただきデータを蓄積しています。
また、戸籍コースの案件であっても一案件ごとに国会図書館等に出向き文献調査をしていますので、そのたびに文献に掲載されている古文書のデータをコピーしたり、どこに所蔵されているかといった情報を控え、やはり『ご先祖探しスーパーデータベース』の充実に努めています。
ですので、年間に300~500件程度の町村分の情報が新たに蓄積されていっています。こうしたものが、当事務所の調査精度の向上に役立ってくれています。
★当事務所で行う調査方法
200年たどるコース~家系調査の例~
200年たどるコースでは、ご依頼人様の直系尊属1系統の戸籍で判明している以上の情報を得ることを目標としています。
■菩提寺の記録を調査する
お寺には檀家の死亡記録である「過去帳」があります。
この過去帳を見れば、ご先祖様の記録も出てくる筈ですが個人情報保護の為に全宗派で閲覧は禁止されています。
過去帳には自家だけではなく他家の記録も混在していますので、閲覧を許すと重大な人権侵害にも繋がりますので閲覧禁止は仕方のない措置です。
一昔前は「菩提寺の過去帳を閲覧させてもらえば古いご先祖の事もすぐに分かる」という認識がありましたが、現在ではその認識は改めなければなりません。
しかし、ご住職は各檀家について当然に詳しいですから、お話しを伺うことによって古いご先祖様のことまで分かることもよくあります。
また、過去帳についてはこちらで閲覧することは出来ませんが、ご住職の方でご依頼人の家分についてのみ確認をしていただき俗名を教えて頂くという方法もあります。
いずれにしても、菩提寺に出向きお話しを伺うという事は古いご先祖様のことを知るために非常に重要なことなのです。
ところで、昔から同じ場所にいて江戸時代中の菩提寺も現在と変わらない~という家の場合はそちらのお寺に出向けばよいので話は早いです。しかし、転籍などをしていて江戸時代中の菩提寺がどこなのか分からないという方も多くなっています。
そうした場合には、菩提寺探しから始めていきます。
戸籍で判明した古い本籍地近辺のお寺に手紙を出して問い合わせる。
あるいは、本籍地近辺に同姓の方を探して、その地域のその名字の家であればどこが菩提寺かという事を伺っていく。
そのように手を尽くして菩提寺を特定し、その上でお寺とコミュニケーションを図り信頼を得て上記のようにご協力をいただくという事になります。
■YouTube~菩提寺の過去帳で先祖探し・家系図作成は出来るの?
■お墓を調査する
「お墓」というのは貴重な情報の宝庫です。
古いお墓ですと、先祖代々の方の戒名や俗名などがたくさん残されている可能性がります。但し、問題なのはお墓に刻まれた古い記録が「読めない」ことが多いことです。さすがに100年、200年経過していると石が削れてしまっているのです。しかし、それで諦めてはもったいないと言えます。
パッと見て石が削れて判読不可能な文字も、天候や時間が異なれば読めることがあるのです。昼間見えない文字も夕方に灯りを照らすことによって突然、鮮明に文字が浮かび上がることがあるのです。また、それでも読めない状態であれば「拓本」を取ります。魚拓のようにお墓に墨を塗る訳にはいきませんので、墓石を全く汚さない手法で拓本をとります。肉眼ではまったく読めなかった文字がはっきりと浮かびあがる瞬間は感動的です。
■YouTube~古い墓石の拓本とって家系図作成・先祖探し(実例)
■氏神に残る記録を調査する
忘れてはならないのが神社です。
お寺に記録がない先祖でも、神社内に何らかの記録が残っていることはあるのです。
これなども、氏神が分からなければご先祖の本籍地近辺の神社をひたすら回って見てみるという方法もあるのです。(だからといって成果が上がるとは限りませんが‥)
■武士である事が分かれば分限帳,武鑑,旗本辞典等をくまなく探す
武士の場合には藩の社員名簿(?)ともいうべき「分限帳」や、江戸時代の紳士録(?)ともいうべき「武鑑」の中にご先祖様の名前を見つけだすことも出来ます。
しかし、肝心のその藩の分限帳がどこにあるのか?(無いのか?)は、ケースバイケースと言えます。
実際には、江戸時代の身分が何だったかが分からないというところからスタートしますので、あるかどうか分からないけれど分限帳を探す。そして、くまなく名前を探してみる。という段取りになることの方が多いです。
その結果、名前が見つからなかったということの方が圧倒的に多い・・・。でも、そこでめげてはいけません。何故なら、家系調査において何かを調査したけれども「成果が無かった」というのは日常茶飯事なのです。
それにより、「そこに無いことが分かった」ということも成果なのです。「そうか、武士では無かったらしい」と、分かったということです!こういう瞬間が多くて本当は泣けてきますが、「無いことが分かった」と思って自分を励ますこと数知れずです・・・
■宗門人別改帳などの古文書をあたる
「分限帳」「武鑑」の中に名前が見つけられるのは、ご先祖様が武士の場合に限られます。
では、一般庶民の場合はどうするかというと「宗門人別改帳」という江戸時代の戸籍代わりになっていた古文書があります。これは元々はキリスト教を弾圧するために作らせたもので、江戸時代の各庶民は必ずお寺に属することを義務づけられそれを明確にするためにこうした人別帳が作られたということです。
しかし、こうした宗門人別改帳も時代と共に役割を変えていき、年貢の徴収の管理台帳として利用されるようになっていきました。そのようになると、この人別帳はお寺ではなく「庄屋」が持つことになります。
では、現在その「宗門人別改帳」はどこに存在しているかといえばケースバイケースで(‥と、言いますか存在していない事も多くあります)、かつての庄屋さんが持っている場合もあれば郷土の図書館や史料館に寄贈されていることもあるといった具合です。
こうした古文書は「くずし字」で書かれていますので、なかなか現代文字を読むようにサクサクとは読めません。古文書からのルーツ探しは「くずし字」との格闘ともいえます。
くずし字の中でもさらに癖字で書かれている時などは「おいおい、公文書なんだからもっときれいな字で書いてくれよ」と、数百年前の役人に心の中でつっこんだりしています。ちなみに、宗門人別帳の中身というのは下記のような文字で書かれています。
これらの古文書の所在を探し、所蔵者と閲覧交渉をするのが一苦労なのですが、上記の通り『ご先祖探しスーパーデータベース』などを活用しながら必要な古文書に迫っていきます。
■YouTube~江戸時代の先祖調査・実例①「戸籍と人別帳を接合する」
■地域の方、同姓の方などにインタビューする
人に話しを聞くと思わぬヒントが得られます。特にその地域や同姓の方は、貴重な情報や伝承を知っています。そして、高齢の方ほど昔からの情報をよく知っています。
しかし、そうした貴重な情報を知る人も当然に年々他界されてしまいます。戸籍も廃棄される前に早く取得しなければなりませんが、人が持つ情報も年々消えてしまっているのが実情です。
家系調査は常に時間との勝負でもあります。
「自分が歳をとってからのんびりと調査を‥」なんて考えていると、残念ながら家系の記録はどんどん失われてしまいます。
★当事務所で行う調査方法
400年たどるコース~家系調査の例~
400年たどるコースでは、ご依頼人様の直系尊属1系統を江戸時代前半である1600年代までさかのぼり、ご先祖様のお名前と暮らしぶりを判明せることを目標としています。
400年たどるコースになってきますと、ご先祖様の導き(=資料が上手く残存している幸運)も手伝わなければ、調査が進まないことがあるというのも事実です。
具体的には、200年たどるコースと同じような調査方法を取りますが、その違いは、何と言っても古文書の判読の量が膨大になることです。
例えば、分限帳をたどるにしても何十冊と存在するものを一つ一つ、ただひたすら閲覧していきます。
その中にご先祖様のお名前を探す訳ですが、分限帳のような貴重な史料は当然、文書館などから持ち出すことは出来ませんし、必要なものを数冊ずつ請求して1冊ずつ丹念に見ていきます。
文書館によっては、消毒や手袋の着用を義務づけられている場合もあります。
それを地道に行なっていきますので、分限帳を全部見終えるだけで丸二日くらいはかかりかねません。
また、400年前ともなると例え菩提寺にお墓が存在していたとしても、もはや文字が判読できないのが通常です。
灯りを上手く照らして読み取れるのも、せいぜい200年程度前のものまででしょう。
では、どのような方法を取るかといいますと(場合にもよるのですが)拓本をとったりもします。
もちろん、お墓を汚さない独特の方法です。魚拓を取るようにやったら、間違いなくお寺から出入り禁止になります(笑)。
★当事務所で行う調査方法
1000年たどるコース~家系調査の例~
1000年たどるコースでは、ご依頼人様の直系尊属1系統を平安時代までさかのぼることを目標としています。
源氏や平氏といった姓のなかでも「清和源氏」の何流なのか?「桓武平氏」の何流なのか?といった事まで分かれば、後は、その上の代のルーツは史料として残っていますので判明していきます。(源氏、平氏の場合は、皇族賜姓ですので自然に天皇家とつながっていきます)
これはルーツ探しの終着点と言えます。
1000年たどるコースとは、つまり、徹底的に調べるということです。ここはもう家系調査に関する知識とフル稼働し、かつ、ひたすら史料を求めて足を使うという事になります。調査期間も1~2年程度かかります。
また、1000年たどるためには、歴史、家紋、地名についての知識が不可欠です。何しろ、平安朝の頃の系譜を正確に知る(といっても100%正確とは言えませんが)家系図は数多く残されています。
例えば、『尊卑分脈』です。
この『尊卑分脈』は、製作されたのは室町時代ですが、これには藤原氏・源氏などの家系が詳細に記されています。平氏や古代姓氏の分も収められています。下記は私が所蔵している明治期に発刊された吉川弘文堂の『尊卑分脈』の写真です。
その他、814年に編纂された古代氏族の名鑑ともいえる『新撰姓氏録』などもあります。こうしたところまで、たどりつけば自分の出自が一気に判明することになります。
しかし、残念ながら鎌倉時代~室町時代の頃の家系調査をする手段がとぼしいのです。
江戸時代前半までは、何とか頑張れば調査できるかもしれないのですが、そこから平安朝のところまでが空白なのです。まあ、実力主義の戦国の世では家系図・家柄など軽視されてしまったということでしょうか。
ですので、その空白の期間を埋めるために様々な知識と推理(仮説を立てる)、そして検証していくという作業が必要になります。もちろん頭の中で考えているだけではダメですので検証のために様々な史料がある場所に足を運びます。
もし、この調査が成功し、自分の出自が1000年以上たどれば、自分の遺伝子が壮大な日本史の中で何を見てきたのか、自分という人間はどんな役割を果たしてきた人々の末裔として存在しているのかが全て明らかになります。日本史と自分が一体となる感覚です。
ただし、この『1000年たどるコース』は、どの家でもたどれるというものではありません。
そのため「1000年たどるコース」につきましては、いきなりお受けするという事はしておりませんので、まずは「200年たどるコース」もしくは「400年たどるコース」をお申込みいただき、さらに調査をすれば1000年も可能な確率が高いという場合には、差額をお支払いただき1000年たどるコースに移行するという形を取らせていただいております。
(ご自身で既に調査を進められ相応の情報を取得済みの方は、その状況をお伺いしたうえで、お引き受けするかどうかを判断させて頂いております)