古い戸籍には転記ミスがあることを心得ておく

家系図 ルーツ

第90

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1.家系図ニュース~本日の朝日新聞に掲載されています
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こんにちは、行政書士の丸山学です。本年も、どうぞよろしくお願いいたします。

さて、本日(1月9日)の朝日新聞の文化面の記事「記録は永遠の生命か」中で私の家系図についてのコメントが掲載されています。お手元に朝日新聞がある方はご覧いただけますと幸いです。

この記事は『想・記・伝』という連載記事の4回目です。「記録と記憶」をテーマにした記事になっています。私の家系図についての話の後にある『ライフログ入門』の著者のお話が非常に興味深いです。

この方は27年間にわたり自身の毎日の出来事を事細かく記録している~つまり、自分の人生を全て記録することを試みています。2000年から昨年にかけては家中にカメラを設置した「記憶する住宅」に住んでいたそうです。

人はなぜ記録したがるのか?

これは実は家系図にも通じるテーマです(だからこそ、今回、取材を受けた訳です)。おそらく、人は誰しも「死」に対して根源的な恐怖を抱いています。死ぬということは、肉体的な問題だけでなく他者から自分のことが忘れられていく恐怖ともいえます。

よく言われることですが、肉体的な死が最初の死。そして、自分のことを知っている(記憶している)人が全て死んだ時が最終的な死。

自分の生活を全て記録する。家系図を作成して後世に伝える。そうした記録を行うことが唯一、「忘れ去られる恐怖」から解放してくれるのかもしれませんね。


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2.古い戸籍には転記ミスがあることを心得ておく
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ある『200年たどるコース』の案件で、どうにも不思議なことがありました。その調査では、取得できた明治19年式戸籍の中に戸主の父名もあり、文化文政期(1804~1829)当時の戸主名まで判明していました。

また、戸籍内に珍しく天保時代(1830~1843)の転籍情報まで記載されていました。それらの情報を元に、その大元の本籍地の宗門人別帳を探しあて、無事に閲覧をすることが出来ました。

それにより、簡単に江戸時代後期のご依頼人の家のことが明確に分かる…筈でした。しかし、明治19年式戸籍内に記載された戸主の父名が、その宗門人別帳のどこを探しても見当たらないのです。

いくら戸籍という公文書であっても、その中に記載されている江戸期の情報などはいい加減なのかなあ?とも考えました。しかし、昨年12月、どうも納得がいかず、転籍後の本籍地の古文書を調査してみました。

そうしましたところ、明治7年頃に作成したと思われる戸籍の下書きを発見しました(江戸時代から明治時代にかけて、その地域の庄屋を務めた家の文書の中にありました)。

但し、明治初期のその戸籍の下書きも、既に取得していた明治19年式と同じ世代の人物しか記載されておらず、新しい発見はないと最初は肩を落としました。しかし、よくよく見ていくと、なんと戸主の父名が明治19年式戸籍のものと一文字違っていることに気付きました。

明治19年式戸籍では、戸主の父名は「平次郎」となっていましたが、明治7年頃に作成された戸籍の下書きでは「彦次郎」となっているのです。この当時は、戸籍も「くずし字」で書かれていることが多く、転記ミスも生じやすいということです。

そのために、江戸期の宗門人別帳と照合した時に「おかしい。ある筈の人物がいない」という事態になっていたのでした。「平」と「彦」は、くずし字にしてもそれほど間違いやすいとも思えない字ですが、それでも転記ミスが生じるのですから、一文字くらいの間違いはあるものと思って調査しないといけません。

こういう事態が生じたときのためにも、古文書調査の際には出来るだけ古文書の全てをデジカメ等で撮影しておきたいところです。そうしないと、一文字違うという事に気付いても再照合できなくなってしまいます(もう一度、古文書がある場所まで出向くのは大変な事ですので…)。

古い時代は、転記ミスは普通にあり得る~そう心得ておくことが重要です。