戦国期の武士の記録(分限帳)も意外と現存している

家系図 ルーツ

第87

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1.家系図ニュース~苗字の書かれた古文書
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こんにちは、行政書士の丸山学です。

相変わらず先祖探しの日々です。江戸期の古文書は、原則としては庶民の「苗字」は書かれていませんので苦労するものですが、時折、苗字が堂々と記載された古文書に出会います。

今、ある『200年たどるコース』の調査で中部地方の某村の古文書を読み込んでいます。その村の古文書は大量に現存しているので非常に助かります。

また、依頼人の家は江戸期は村役人だったと考えられるのですが、江戸期の文書はどのようなものでも大概、村役人が最後に署名・押印をしていますので、この点でも比較的調査がしやすいといえます。

しかし、人別帳などの決定的な文書がないため意外と「どの村役人が依頼人の家の先祖か分からない」という事態に陥って少々困っていました。

…しかし突然、一つだけ村役人の苗字が何故か堂々と記載されている文書が見つかりました。江戸時代後期の寺の修繕の記録でした。「●●嘉兵衛」という感じで普通に書かれていました。公の文書(宗門人別帳等)にはもちろん庶民の苗字は記載されません。

しかし、私的文書(神社の寄附記録、日記等)にはたまに苗字が書かれています。それでもそうした事は例外的なことですから今回は好運でした。江戸期のご先祖探しをされる場合は、「庶民だから苗字は書かれていない」と、諦めるのではなくて「苗字が記載されている古文書もあるかもしれない」という気持ちで丹念に探していくことが大事なようです。


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2.戦国期の武士の記録(分限帳)も意外と現存している
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先祖が「武士」である場合には、各藩が作成していた「分限帳」(職員名簿のようなもの)を探していくのが基本になります。江戸時代後半のものは各藩とも結構、現存しています。しかし、戦国期~江戸時代初期のものは現存具合が悪いといえます。

それはそうです。さすがに戦乱の中では「文書」を守ることは第一とはなりません。城を囲まれて籠城している時に「分限帳を守らねば」とはなりません。それよりも食糧をどう確保するかの方が重大問題です。

そうした事情と、単純に年月と共に散逸する可能性も高まりますので江戸時代中のものに比べれば残っていないのも当たり前です。…とはいえ、そうした事情も含めて考えると「意外と現存している」ともいえるのです。

思いつくままに列挙してみますと…
◆『小田原衆所領役帳』
…戦国時代に関東で覇権を握った小田原北条氏(鎌倉執権の北条氏に対して後北条氏などと呼ばれる)の家臣と所領を書き出したもの。

◆『織田信雄分限帳』
…織田信長・二男の信雄。やはり家臣名と知行地が書き出されている。

◆『京極高次分限帳』
…京極高次の妻は大河ドラマ『江』でお馴染の浅井三姉妹の二女・初。

◆『成田家分限帳』
…石田三成に「水攻め」をされながら耐えた忍城(埼玉県行田市)の城主として有名な成田氏の家臣団の記録。

…その他、戦国武将の福島正則、加藤清正らの分限帳などもあります。

江戸時代中は農民だった家でも、戦国期まで遡れば武士であることも多いです。自身のルーツがある地方の戦国武将の分限帳を見てみると、自家の苗字と同じ家臣がいたり、その宛がわれていた地名などを見ていくと興味と想像が膨らんでくると思います。

江戸時代には武士ではなかったという場合でも、是非、戦国~江戸初期の分限帳をチェックしてみましょう。