検地帳の小字名に注目する

家系図 ルーツ

第82

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1.家系図ニュース~家系図本の企画がいくつか
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こんにちは、行政書士の丸山学です。

以前に『家系図を作って先祖を1000年たどる技術』(同文舘出版)という書籍を出版させていただきましたが、連休前に別の某大手出版社さんからやはり家系図(先祖探し)についての出版オファーをいただきました。但し、こうしたものは企画段階で終わってしまうケースもあり、実現されるかどうかはまだ未定です。

もし、実現されることになりましたら前著とは切り口を変えた本にしてみたいと思います。また、時を同じくしてやはり別の某出版社さんから戸籍についての書籍執筆のオファーをいただきました。こちらも正式な打ち合わせは連休明けになります。

これまでも何点か出版をさせていただきましたが、平日日中は本業に専念しなければなりませんので、執筆に充てられるのは夜と土日という事になります。上記の2冊が決まってしまうと年内は休みなしを覚悟しなければなりません。でも、昔から本が大好きな人間ですので、それはそれで幸せな話です。


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2.検地帳の小字名に注目する
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武士は江戸時代中も苗字を名乗ることが出来ましたが、庶民は公には名乗ることが出来ませんでした。実は私的な記録(神社の記録や日記など)には多々、農民や商人であっても苗字が記されているものが見つかっています。ですから、庶民も江戸時代中に苗字を持っていたいなかった訳ではなく、あくまで公的文書に記すことは憚られたというのが実情です(このあたりは、今までも何度か書いてきた話です)。

さて、江戸時代のご先祖探しの重要史料として「検地帳」があります。しかし、検地帳はまさにお上が徴税のために作成しているものですから公文書という事になります。公文書である以上、その中に村の各家の当主名が記されてはいますが苗字は記されていません。

また、検地が盛んに行われたのは江戸時代の前半です。江戸時代後期になると、古い戸籍(除籍)で判明した自家のご先祖名と照合する事により検地帳に苗字がなくても「これがウチのご先祖だ」と、分かったりもします。

しかし、江戸時代前期~中期にかけては、そうした事も叶いません。そんな時、検地帳で注目すべきは記されている「小字名」です。江戸時代の「村」が現在の住所では「大字」(字)に該当するケースが多いです。

たとえば、現在の「埼玉県所沢市字北野」という地域は江戸時代中の「北野村」に該当します。しかし、その村の中にはさらに「小字」がありました。現在の住所表示にはもはや正式には残っていないケースも多く、その土地の人だけ
がかろうじて知っているような地名~それが「小字」です(ちなみに、法務局にある旧土地台帳などを見ますと、その地番に該当する小字名が分かります)。

さて、検地帳に話を戻しますと、検地帳内には各田畑ごとにその石高と所有者の名前が記されています。前述の通り苗字は記されていません。しかし、それぞれの田畑の記録には「小字名」が脇に記されています(小さな文字で書かれていますので見逃さないように!)。

つまり、自家のルーツが江戸時代中にどの小字名に該当する場所に居住していたのかが分かれば(戸籍取得、土地台帳取得、ご本家への聞き取り等で)、苗字のない検地帳であっても、「これがウチのご先祖ではないか?」という推測がつくようになります。

もちろん、それだけでは確実ではありませんが、だいぶ見えてくるものがあります。このように、戸籍を超えた江戸時代のご先祖探しでは本当に僅かな手掛かりも残さずに調査を進めていく必要があるのです。