区有文書とは?~地域共有の古文書からご先祖探し~

家系図 ルーツ

第55

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1.家系図ニュース~印象に残ったご先祖様探し
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こんにちは、行政書士の丸山学です。年も押し迫ってきましたが、今年も家系調査に明け暮れた一年でした。

さて、『まぐまぐ』の公式メルマガ等で当メルマガが紹介され、今号から新たに読者になっていただいた方も多いようですので(現在当メルマガ読者数は約3500人)少し説明をさせていただきますと、私の事務所では戸籍・除籍簿の取得による家系調査はもちろんのこと、戸籍が存在していない江戸時代の家系調査(ご先祖様名を調査し、どのような暮らしをされていたかを解明するもの)も行っています。

また、『家系図を作って先祖を1000年たどる技術』(同文舘出版)という書籍を今年出版していますので、ご興味のある方は下記ページもご覧くださいませ。
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さて、今年も数多く戸籍の範囲を超えてご先祖様探しをさせていただきましたが、年末ですので印象に残った調査を思い出してみたいと思います。

「風景」として印象に残っているのは瀬戸内海に浮かぶ島での調査です。レンタカーをフェリーに載せて夜に瀬戸内海を渡ったのですが、夜の海というのは本当に怖いです。デッキにつかまっていても何だか吸い込まれそうで早々に船内に引き上げた事を覚えています。島では調査したお寺のご住職においしい魚料理を御馳走になり、なお印象深いものとなりました。

「大変だった」という意味では、今号の本題でもある地域の共有文書を半年がかりの交渉で閲覧にこぎつけた調査です。 江戸時代のご先祖探しでは村の古文書を閲覧することが重要なのですが、こういう物がどこにあるか(あるいは無いか)は地域によって異なります。

個人所蔵の場合には、その方に頼むしかありませんので話はシンプルなのですが、往々にして古文書が地域の共有物である場合があります。共有物ですから原則、地域の方々みなさんに許可を得なければ閲覧が出来ません。

関西地区のある「400年たどるコース」の調査で、今年6ヵ月を超える交渉の末、共有文書の閲覧を実現しました。それにより、ご依頼人のご先祖様が判明した事も嬉しいことでしたが、結果的にその地域の方々にその古文書の存在が認識され、今まで気付かなかった貴重な史料が含まれているとが発見され、公的機関への預託が真剣に検討されるようになった事も私的には非常に嬉しいことでした。

その他にも面白い調査がたくさんありましたが、個人情報の関係で詳しく書けないのが残念です(…日本史に関わるようなホントに楽しい案件。ミステリー小説ばりの推理力が求められる案件など全てお話できたら、どれだけ楽しいか分かりません!)。


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当事務所では「人権」については充分な配慮をして家系調査を行なっています。人権侵害に当たるような調査、他人の身元調査は受け兼ねますのでご了承ください。


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2.区有文書とは?~地域共有の古文書からご先祖探し
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さて、その地域の共有文書の話です。
戸籍の範囲を超えた江戸時代以前のご先祖探しをする場合、まずは戸籍・除籍簿で判明する自家の最古の本籍地の郷土史を読むことは基本中の基本になります。

そこには、ご先祖探しにとって重要な数々の「情報」が埋まっています。…で、そうした郷土史の中には地域に残る古文書が掲載されていて、その出典が『区有文書』とされている事が多くあります。

普段聞きなれない言葉ですので「区有文書って何?」と思われる方も多いのですが、これは地域の共有文書という事です。内容は地域により様々ですが、「検地帳」「連印帳」「宗門人別帳」など江戸時代のご先祖探し、家系調査をする上では欠かせない古文書が含まれていることが多くあります。

ですので、区有文書が存在する場合は是が非でも閲覧させていただきたいのです。…しかし、前述のとおり「共有」ですから誰か一人の許可では済みません。

上記の「400年たどるコース」の案件では自治会長さんに窓口になってもらい、何度も何度も電話をして半年以上の時間をかけて遂に公民館で閲覧が実現しました。

そもそもの始まりは、その地域に行って地元の方に「この地域の共有文書がどこかに存在する筈なんですが、ご存知ないですか?自治会長さんはどこのお宅でしょう?」と、聞いて自治会長さんの家に飛び込みで訪問させていただいたのが始まりでした。

今思うと、よくそんな体当たり的な方法で実際に地域の区有文書に出会えたものだと我ながら不思議な感じもしますが…という訳で、郷土史に「区有文書」の存在が書かれていたら要チェックです。