「屋号」が苗字代わりになる

家系図 ルーツ

第35

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1.家系図ニュース
~現地調査を伴うものは「予約制」にさせていただきました
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こんにちは、行政書士の丸山学です。

昨夜、讃岐国(香川県)の現地調査から帰ってまいりました。
お寺の記録、公的機関に所蔵されている古文書の閲覧が中心で、今回も多くの方々にお世話になりました。おかげさまで「200年コース」でしたが、230年くらい前に亡くなったご先祖様の俗名まで判明することが出来ました。また、戦国時代から江戸時代にかけてどのような生活を営まれていた家なのかも見えてきました。

しかし、それにしても忙しくなってきました。
おかげさまで、多くの家系図作成のご依頼をいただきますが、ここらで一度体勢を立て直すために、現地調査を伴うご依頼(「200年」「400年」「1000年」コース)につきましては、落ち着くまでの間、予約制とさせていただく事にしました。

ご依頼を希望される方は、とりあえずサイトからお申し込みをいただきますが、しばらくの間はお待ちいただき、順番が来ましたらこちらから声をかけさせていただき、その時点でもご依頼の意思が継続していましたらそこで初めて契約成立ということで、代金をお支払いただきスタートするということになります。尚、戸籍取得コースにつきましては通常どおりお申し込みを受け付けております。


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当事務所では「人権」については充分な配慮をして家系調査を行なっています。人権侵害に当たるような調査、他人の身元調査は受け兼ねますのでご了承ください。


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2.「屋号」が苗字代わりになる
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今回の香川県での調査では過去帳が非常に役立ちました。しかし、過去帳をあまり過信してはいけません。通常は、過去帳というのは家ごとに整理されて記録されている訳ではありませので、一体だれが自家のご先祖様なのか見極めが難しいものです。

今回は、たまたまご依頼人の家の記録を先代のご住職が書きだしてくれていましたので難儀せずに済みましたが、そう簡単ではないケースの方が圧倒的に多いといえます。江戸時代はこうした文書にも苗字を記載できませんでしたから「家」の特定が難しいのです。

しかし、それでは不便だというのは江戸時代においても同じだった訳で、実は江戸時代の苗字を名乗れない庶民の家であっても「家を見分ける方法」は色々と存在しています。

何号か前にお話した各家の印鑑(実印)などもそれです。しかし、まだまだあります。たとえば『屋号』などもそうです。屋号というと現代では、個人事業主がお店に付ける店名などを指すというイメージが強いのですが、江戸時代においては『家名』でもありました。

地方で特定の家のことを尋ねると、「ああ、佐平のことですね」などと言われます。しかし、目指す家には佐平なる人物はいません。それにも関らずその家は「佐平」と呼ばれます。別に商売をやっている家でもなく農民なのですが「佐平」という屋号の家なのです。

分かりやすく言ってしまえば、苗字のない時代の家名であるとも言えます。戦国時代あたりから日本では『家』というものが強烈に意識されだします。そのために、代々の嫡男は同じ名前を名乗るようになります。それによって、家の継続を表していることになります。

「佐平」なら佐平という名前を嫡男が代々継いでいく。名前だけでなく家の財産も継いでいきます。それにより財産の分散を防ぎ家の存続を可能にします。この家は、たとえ苗字を名乗れなくても「佐平家」です。そして、江戸時代の途中でいつしか佐平という名前を用いなくなったとして、名前を「清左衛門」と付けるようになったとしても「佐平の清左衛門」ということになるのです。

こうなると、効用としては苗字と何ら変わりありません。苗字を公文書で名乗ることは許されませんでしたが、過去帳などにはこの屋号が書かれていることがあります。それにより、苗字が書いていなくても過去帳をさかのぼって見ていくと、その家の代々のご先祖様が明らかになることがあります。

江戸時代の庶民は苗字がないのだから遡りようがない…と、思い込んで諦めてしまうのではなく「当時の人々は苗字がない代わりに、何か家を識別する方法を作っていたに違いない」という発想で色々と調べてみると分かってくることも多いと思います。また、ご祖父が存命であれば「ウチの昔の屋号は何ていうの?」という事は早いうちに聞いておいたほうが良いと思います。