分限帳には全藩士の名前が載っている訳ではない

家系図 ルーツ

第19

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1.家系図ニュース~瀬戸内海の島での調査から帰ってきました
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こんにちは、行政書士の丸山学です。

『200年コース』の案件で、瀬戸内海に浮かぶ某島に調査に行っておりまして、昨夜、無事に帰ってまいりました。今回はお寺さんにご協力をいただきまして、江戸時代中頃までのその家の記録が出てきました(おまけに、ご住職にはおいしい魚料理をご馳走になってしまいました。感謝にたえません‥)。

残念ながら、ところどころ俗名が不明なところなどはありましたが、お寺に残る記録を読み取ることで、その家がどのような生活状況にあったのかまで見えてきましたので非常に有益な調査でした。

ところで、島にはフェリーで行くしかりません。
フェリーの中では名探偵、金田一耕助が活躍する『獄門島』(横溝正史著)を読んでいました。冒頭の金田一耕助が船で獄門島に渡るシーンを‥

私が中学生の頃、横溝正史(というか、金田一耕助)が大ブームで私は中学生の頃は真剣に金田一耕助になろう(つまり名探偵になろう)と考えていました。しかし、現実には探偵といえば浮気調査などがメインで、謎解きをする私立探偵などは存在しません。そんな事が分かって、探偵事務所を開業する夢はいつしか霧散してしまっていたのですが、まさかこうして「謎解き」(←ご先祖様探しは謎解きです)のために船にのって瀬戸内海を渡ることになろうとは、世の中、面白いものです。

最近、綺麗な装丁の版で『獄門島』が出ています↓

横溝正史自選集〈2〉獄門島 横溝 正史
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当事務所では「人権」については充分な配慮をして家系調査を行なっています。人権侵害に当たるような調査、他人の身元調査は受け兼ねますのでご了承ください。


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2.分限帳には全藩士の名前が載っている訳ではない
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江戸時代のご先祖様探しにおいて、武士の家であったらしいという場合には「まず、分限帳にあたってみるべし」と、よく言われます。

分限帳というのは、藩の職員録みたいなものですから有益な文献であることは間違いありません。そこに、ご先祖様のお名前を見つけることが出来れば、確かに○○藩の藩士であったということが確認できます。最近では、こうした分限帳もかなり活字化されていますので昔に比べると、名前を探すのも楽だと思います。

しかし、分限帳にあたればそれで「その藩の武士だったか否かが確認できる」という考え方は間違いです。 ある藩の分限帳に、戸籍で調べた江戸時代後期の自身の先祖の名前が見つからなかったからといって「武士ではなかった」と判断を下すのは早合点です。

分限帳に載っているのは、藩士のうちの一部であるケースがほとんどです。
今、『200年コース』の案件で「○○のあたりの武士だったらしい」という家の調査を行なっているのですが、その○○藩は江戸後期で家臣は全部で2千人前後いる筈です。しかし、郷土史などに掲載されている活字化された分限帳を見ても2~3百人の藩士しか記されていません。

実は掲載されているのは「知行取り」と言われる所領を与えられている上級武士だけなのです。しかし、実際にはその何倍もの藩士が存在しています。いわゆる「足軽」などの下級武士(上級とか下級という言葉を使うのは抵抗がありますが歴史的表現ということでご理解ください)については、どの藩でもまず分限帳には記載していません。

ですから、「分限帳に載っているから武士だった」とは言えても「分限帳に載っていないから武士ではなかったんだ」とは言えない~というように覚えていただくと間違いありません。分限帳に載っていない場合は、その藩にまつわる他の様々な記録にも当たってみる必要があるという事です。