古書店に出回ってしまった古文書を執念で探し当てる

家系図 ルーツ

第139号 (2017年8月4日) ※読者数8,275人

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1.家系図ニュース~実践的なルーツ探しの書籍を執筆中
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こんにちは、行政書士の丸山学です。

前号でもお知らせしましたとおり、新たに「先祖探し・家系図作成」をテーマにした出版のオファーをいただき、正式にお受けさせていただきました。

現在、鋭意執筆中です。刊行は年末か来年前半といったところだと思います。

今回は初めての試みで、実際に私が調査をした案件のうちから何件かをピックアップさせていただき(ご依頼人様の了解も頂き)実名入りで「実例」として、調査過程を公開するものとなります。

匿名で執筆をいたしますと、どうしても話が抽象的になってしまいますが、ご厚意によりご依頼人様にも了解頂きましたので、ご依頼人様名はもちろん、そのご先祖様名につきましても(各所に迷惑が掛からない範囲で)実名でその調査過程を記せます。

それに伴い、調査した史料や墓石なども出来るだけ実物写真を掲載して分かりやすく調査ノウハウを公開できます。

これまでにない超実践的なルーツ探しの書籍をお届けできますので、皆様のお役に立てれば幸いです。詳細につきましては、出版が近くなりましたらお知らせさせていただきます。


◆重版(3刷目)『先祖を千年、遡る』(幻冬舎新書)
※目次・購入
⇒ https://www.5senzo.net/book-senzo.html

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◆twitter『ご先祖探し実況生中継ツイッター』
⇒ https://twitter.com/marujimu
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◆家系図作成サービス
調査範囲を戸籍取得だけに限るリーズナブルなコース
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 戸籍4系統+歴史探訪報告書コース
 戸籍2系統+歴史探訪報告書コース
 戸籍1系統+歴史探訪報告書コース

戸籍を超えて徹底的に文献調査・現地調査も行うコース
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 200年たどるコース
 400年たどるコース
 1000年たどるコース
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2.古書店に出回ってしまった古文書を執念で探し当てる
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戸籍の範囲を超えて江戸時代中のご先祖様名やその暮らしぶりを知るためには、ご先祖様が暮した村(町)の古文書を閲覧する必要があります。

しかし、当該村の古文書が現存しているとしても、それがどこに存在しているのかを探すのが大変です。

そうした古文書というのは、元々は村の庄屋(名主)を務めた家で作成され保管されているものです。しかし、現在でもそうした個人宅で所蔵されている場合もあれば、既に散逸してしまい存在していない事もあります。

もちろん、行政機関に寄贈されている場合もありますし、地域の共有文書として区長が持ち回りで受け継いでいる事もあります。とにかく一律ではない訳です。

そして、意外とあるのが「古書店に出回っている」というケースです。

そんな江戸期の古文書が古書店で売買されるの?と、疑問に思われる方もいるかもしれませんが、結構あるのです。研究者や好事家などは高い金額を払っても入手したいという事で需要がある訳です。

先日、近畿地方の「200年たどるコース」において、ご依頼人家が江戸時代に居住した村の古文書を探していました。
何十年か前に刊行された郷土史を見ますと、その村の庄屋を務めた旧家所蔵の古文書が写真で掲載されていました。しかも、内容的にはご依頼人のご先祖様(廻船業を営まれていた)についての記録が必ずや載っていると思えるもので、これは絶対に見たいと思いました。

 まあ、何十年か前であっても郷土史に掲載されているくらいですから、その町の
文化財担当の方に聞けばすぐ分かるでしょうし、その旧家に直接聞いてもいいなと
考えて楽観してその町に電話して尋ねました。

しかし、どうもその古文書の行方が分からないといいます。
さらに、現地の方々に聞いていきますと、どうやらその古文書を所蔵していた元庄屋のその家は10年くらい前に土地を離れて行先もよく分からないのだという事が分かってきました。

そこで、その村名や庄屋宅の名前などで検索してみますと、まさにお目当ての古文書の画像が出てきました。いったい誰が画像をUPしているのかと思いましたが、古書店のブログでした。
 
引越しの際にその家の方が意図的に古書店に売却されたのか、それとも整理をした第三者が売却したのかはよく分かりませんが、とにかく古書店に売られていたのです。ブログ上では「売却済」となっていました。

最近はこういうケースが結構多いです。
ダメ元で一応、古書店に聞いてはみますが売却先は教えてはくれません。

こうして古書店を通じて個人の好事家に渡ったりしたら、どうにもなりません。
もう、一生その古文書とは出会えなくなります。

しかし、どうしてもその古文書を見たかったので色々とその土地に関する文献などを読み込んだり、ネット上の関連情報に当たったりしました。

そうしましたところ、某行政機関にお勤めの学芸員の先生が執筆されたある文章が目に留まりました。廻船業についての考察が語られていましたが、その内容から、こちらが探している(古書店に出ていた)古文書をベースにされているようだと感じました。
 
もしかしたら古書店に流通する前に、その先生がその文書を撮影したりしている可能性もあるなと思いました。そこですぐに、その先生に電話をして事情を説明しましたところ、

「あ~、その文書はこちらにありますよ。1年くらい前に古書店に売りに出ているのを見つけたので購入したんです」

との事でした。古書店の売却先がその行政機関だったのです。

という経緯を経てご厚意で原本を見せていただける事になりました(通常は公開されていないものですが)。

実際に閲覧してみますと、ご依頼人のご先祖様が所有していた船の情報まで記されていました。ご依頼人家の家宝になるようなものであり、その部分の撮影もさせていただきました。

このように、古書店で販売されて売却済になっているものでも、それを研究したいその土地の行政機関で購入しているケースが結構あるようです。
ですので、諦めずに関連情報を追っていき、その文書がどこに渡ったのかを探していく事も重要です。

まあ、正直なかなか大変な作業ではありますが…