安倍首相、麻生太郎氏の家系図から見えてくる日本の歴史

家系図 ルーツ

第135号 (2016年8月6日) ※読者数8,722人

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1.家系図ニュース~今回は夏休み特別企画で家系図コラムをお届け
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こんにちは、行政書士の丸山学です。

さて、当メルマガでは自身のご先祖様をいかに古くまで遡っていくかというノウハウを中心に執筆していますが、夏休み特別企画(?)という事で、今回は少し趣向を変えてコラムをお届けします。

「安倍首相と麻生太郎氏は親戚にあたる」

という話をよく耳にしますが、実際にどのような関係にあるのかを家系図を見ながら確認してみたいと思います。また、そこから歴代総理との関係や、はたまた日本の歴史さえも体感してみたいと思います。


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2.コラム『安倍首相、麻生太郎氏の家系図から見えてくる日本の歴史』
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■安倍首相と麻生太郎氏は、具体的にどのような親戚関係なの?

安倍晋三首相と元首相・麻生太郎氏は親戚関係に当たる…という話を耳にされた方も多いと思いますが、どれくらい近い親戚なのか?と、聞かれてもなかなか答えられるものではありません。そこで、実際に家系図を作成して確認してみる事にしました。

私は普段、ご依頼人様から依頼を受けてその方の直系の祖先について調べるという事を仕事にしています。「家系」というのは非常に多くの個人情報を含むものですので、誰のものでも勝手に調べられるというものではありません。
私がご依頼を受ける際にも厳格に本人確認を取らせていただき、その上でその方のご先祖様についてのみ調査を行うようにしています。

今回は、公人である歴代内閣総理大臣につきまして、周知の事実として公になっている情報のみから家系図を作成してまいりました。

それでは早速、系図を見てみましょう。

★安倍首相と麻生太郎氏を中心とした家系図↓


▶系図拡大

「あれ、親戚といっても意外と遠いんじゃない?」

という感想を持たれた方も多いのではないでしょうか。安倍首相からその関係を見ていきますと「おじいちゃん(岸信介)のいとこ(吉田寛氏)の奥様の甥が麻生太郎氏」という事になります。

自身の祖父のいとこの配偶者の甥って、普通は名前も顔も思い浮かばないですよね。(家系図作成を専門に行っている私でも全く分かりません…)但し、安倍首相と麻生太郎氏を中心として描いた家系図をもっと引いた目で見ていきますと、なかなかに興味深いものがあります。

■家系図を俯瞰してみると明治維新の雰囲気が!

ご存知のとおり、朝廷の権威を掲げて徳川幕府を倒して明治維新を成し遂げたのは長州藩(現山口県)、薩摩藩(現鹿児島県)を中心とした勢力です。結果として現代の日本政府に通じる新政権が樹立された訳です。今日からみますと、150年ほど前の話です。

明治時代の総理大臣は、当然のことながら討幕を成し遂げて新政府樹立の中心となった旧長州藩士、旧薩摩藩士がほとんどを占めています。時代はやがて大正、昭和となり平成となった現代ではもはや旧国名や藩名を云われても若い世代はピンとこない人が多くなりました。
そうなると、「長州閥」「薩摩閥」なんていうものは古色蒼然と…と、思いきや、上記の系図のとおり現在の政治の中心にいる安倍首相や麻生太郎氏はまさに長州藩、薩摩藩の末裔です。

そして、その親戚関係にはご覧のとおり歴代総理大臣の名前が多数みられます。先ほど、安倍首相と麻生太郎氏の親戚関係の中で「いとこの奥様の…って、意外と遠い関係」という旨を書きましたが、実はこの配偶者(婚姻)こそが有力家同士を結び付けている訳です。
戦国時代のドラマ・小説などではよく「政略結婚」という言葉が出てきますが、いつの時代にあってもこれは繰り返されています(尤も、現代に於いてはこうした家柄であっても自由恋愛で婚姻されるケースも多くなっているとは思いますが)。

尚、この家系図は安倍首相と麻生太郎氏を中心に出来るだけ簡潔にその関係性を表したものですが、実際には政界だけでなく財界の有力家も多く親戚関係として繋がってきます。

■千年の時を経ても摂関家は力を持ち続ける?

こうした家系図を見ていますと「なるほど、幕末・維新から百数十年が経過して、もはや大河ドラマの世界と思っていてもその勢力関係は意外と現代まで地続きで生きているんだなあ」と、実感します。しかし、そんな百数十年どころではない話も「家系」を見ていきますと存在している事が分かります。

学生時代に歴史の時間で習う「摂政・関白」という響きは多くの方にとって懐かしいものと思われます。幼少の天皇に代わり、あるいは天皇を補佐する役目として事実上の権力を握れる役職です。

平安時代、この摂関の役職を独占してきたのが、ご存知の藤原氏です。
藤原氏の中でも嫡流と一部の分家がこの摂関家になる事が出来ました。藤原氏族のなかでも摂政・関白になれる家柄は「近衛家」「九条家」「二条家」「一条家」「鷹司家」の五摂家です。 「近衛」「九条」というのは家名であり、本姓は藤原です。その五摂家のうちでも筆頭は近衛家です。

近衛家は戦国時代になっても豊臣秀吉と深い関係を結ぶなどして(その為に秀吉の関白任官が実現されました)勢力を保ち、明治時代に華族制度が出来ると最上位の「公爵」の地位につきます。
そして、末裔は昭和に入り近衛文麿内閣総理大臣を生み出します。五摂家筆頭の家柄という事で当時、国民からの人気は高かったといいます。

つまり、摂関家全盛の平安時代から千年を経過しても尚、その家柄は人々を魅了するものがあったという事になります。国民に人気を博した総理大臣といえば、スタイルの新鮮さでブームとなった細川護熙元首相がいますが、その熊本藩主・細川家と近衛家も縁戚関係を結んでいます。

細川護熙氏の母は近衛文麿元首相の娘ですので、祖父・孫の関係になります。さらに、そうした縁もあり、細川護熙氏の弟・忠?氏は近衛家を継いで現当主となっています。

このように、実は江戸時代・明治時代だけでなく、家系というものは千年以上前の平安時代から脈々と現代まで「地続き」として存在している事が分かるのです。